医情研通信 Column & Blog

社員's topics

医の倫理

2016年3月11日

今日3月11日は,東日本大震災から5年目。

新聞,テレビなどでは5年の節目として特集を組んでいますが,
未だに仮設住宅から離れられない被災者も5万人以上もいます。
テレビの映像をみても,被災地では瓦礫が除去され,整地化
されていますが,住宅や街並みという風景はなく,復旧・復興は
まだまだ先という印象を受けます。復旧・復興にはまだまだ時間が
かかりそうですが,ハード面はもとより,被災者のメンタルなど
ソフト面
についても行政・政治は力を注いで欲しいものです。

さて,タレントでもある女性医師が,診療報酬不正請求・受領の
容疑で逮捕されました。日本医師会が制定した
「医の倫理綱領」の中には,
「医師は医療の公共性を重んじ,医療を通じて社会の発展に
尽くすとともに,法規範の遵守及び法秩序の形成に努める」

とあり,さらに
「医師は職業の尊厳と責任を自覚し,教養を深め,人格を
高めるように心掛ける」

とあります。

この女性医師は,実際に診療していないにもかかわらず,診療報酬を
約7,000万円詐取した容疑ですが,テレビ報道では,豪遊していた映像も
流され,「医の倫理」とはほど遠い存在のようです。

医師の経済的事犯(所得税法違反や診療報酬不正請求)に対しては,
司法処分が確定すると,厚生労働省の医道審議会にかけられ,医師免許
取り消し,医業停止などの行政処分が科されます。診療報酬不正請求
(不当請求とは異なります)では,架空請求や水増し請求が主ですが,
今回のように反社会的な人物と共謀するという事例は聞いた記憶が
ありません。医学教育の段階から「医の倫理」を徹底的に教育すべきだ
と思います。

〈気になるニュース〉
認知症事故訴訟 家族の賠償責任否定

認知症の高齢者が徘徊中に列車にはねられ死亡した事故で,
JR東海が家族に損害賠償を求めた訴訟で,最高裁が家族の
賠償責任を認めず,請求を棄却する判決を言い渡しました。

最高裁は家族の監督責任について,
「認知症の人との関係性や,介護実態などを総合に考慮すべき」
として損害賠償請求を棄却しました。
報道では,画期的な判決,“大岡裁き”と評価していますが,
注意しなければならないのは判決で,
「認知症の人との関係性や,介護実態などを総合的」
に判断した結果で,やはり
「介護の実態」
が大きな要素になることを示しています。
今後,認知症高齢者がさらに増加することが見込まれて
いる中で,在宅介護の問題が益々深刻化しそうです。

(よ)
コラム&ブログ Column 資料室 Archive 制作書籍 Books

Page Top