医情研通信 Column & Blog

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“がんカフェ”に参加してみませんか?

2018年11月29日

弊社発行の『新薬と臨牀』で,
「“対話”が生む力―カフェという支援のかたち―」
という企画頁を担当していることから,
月に一度,がん患者さんのためのカフェに参加させていただいています。
以前このブログでも紹介させていただきましたが,
いま,がん患者さんやがんサバイバーと呼ばれるがんを経験された方々が集まり,
自身の不安や悩みを気兼ねなく話すことのできるカフェ
が全国に増えているのです。

カフェは医師や看護師,臨床心理士をはじめとした医療者の方,
がんサバイバーの方が中心となってボランティアで運営されているものが多く,
月に1~2回程度開催されています。
医療者によるカフェは院内で開催されている場合が多いのですが,
最近は喫茶店の一部を借りて,
あるいはレンタルスペースで開催されるものも増えています。

テーブルには患者さんやそのご家族,サバイバーの方,
さらに運営スタッフの方が進行役として同席し,
5~6人で1つのテーブルを囲むというのが基本的なスタイルです。

患者さんが話す内容はさまざまです。
治療による副作用の辛さを語る人,
主治医とうまくいかないと語る人,
漠然とした不安や,
周りの人と以前のようにつきあえなくなったという孤立感,
死への恐怖を語る人・・・

治療を終えて数年が経っていても,再発の不安や
治療による後遺症に悩まされている方もたくさんいらっしゃいます。

二人に一人ががんになる時代とはいえ,
がんはほかの病気とは少し違って,
日常生活の中で話題にすることが難しいということをあらためて感じます。
ましてや「死」となると,話題にすることはあっても,
それはあくまでずっと先のこととして,だということも。

がんという身近な病気について,
そしてどんな人にも必ず訪れる「死」について,
普段から誰もが考え,話題にできるような社会であれば,
こんなにもがん患者さんが周囲との間に壁を感じ,口を閉ざし,
孤立することはないだろうと思います。

そんなことから,がん患者さん以外の人にも,
こういったカフェに参加していただければ
と思っています。
参加者を患者さんとそのご家族だけに限定しているカフェもありますが,
参加者の方に配慮したうえで誰でも参加できるカフェもあります
否定をしない,詮索や安易な励ましをしない,
といったいくつかのルールを守っていれば,
参加者の方のお話を聴かせていただくことはできると思います。
「がん」「カフェ」で検索すれば,お近くのカフェが見つかるはずです。

つい先日,以前見学させていただいたカフェのスタッフの方から,
“がんは他人ごとではない,いずれ自分や家族ががんになった時に役に立ったら,
という理由で,がんを経験されていない方がカフェにいらっしゃいました”
というメールをいただきました。

関心を持つ人が少しずつでも増えること,
がん患者さんのためのカフェがもっと開かれたものになることを
期待しています。
カフェは「がん教育」の場にもなる可能性を秘めていると思うのです。

さて, 来月10日発行の『新薬と臨牀』12月号では,
石巻赤十字病院の医師,看護師,がんサバイバーの方が運営する,
「就労支援カフェinいしのまき」
「がん哲学外来 日和山カフェ」を紹介します。
同院副院長の鈴木 聡先生が「話す」と「聴く」をテーマに
素晴らしい御原稿をご執筆くださいました。
ご高覧いただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

(梅)
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