友人のだんな様が亡くなりました。
難しい病を告げられながらも,詳しい検査も,治療も,
訪問医療や看護も,在宅緩和ケアさえも受けず,
自宅で,友人の腕の中で息を引き取りました。
亡くなったその日,彼あてにAmazonから段ボール箱が届いたのだそうです。
中から出てきたのは,前日に彼が注文したらしいマジックハンド。
「マジックハンド?!」
「そう,マジックハンド! 笑うやろ~?」
不謹慎ながら,思わず友人と声を上げて笑ってしまいました。
亡くなる前日まで歩けてはいたものの,身体を動かすのが辛くなっていた彼が,
マジックハンドがあればベッドに居ながらにしていろんなものが取れるだろう――
そう思って自分で注文したのではないか,と友人は言います。
誇り高いラスタファリアンだった彼は,
現代の西洋医学による治療を拒んではいたものの,
食事は何を食べるのがいいのか,どのような生活を送ればいいのかということを
常に知りたがっていたといいます。
自分の病の先に待ち受けているものを,当然彼もわかっていたはずですが,
「今の自分にできることは何か」を常に考え,最後まで実践したのだと思います。
マジックハンドは、ちょっと家族に笑ってもらい、という思いもあったのかもしれません。
もちろん,彼が残したものはマジックハンドだけではありません!
故国の南アフリカ共和国では3本の指に入ると言われたマリンバ奏者として,
かつてはワールド・ツアーもこなしていた彼,ジョゼフ・ンコシさんは,
たくさんの音楽と,自らの手で作ったマリンバやジェンベなどの楽器,
そして友人に,多くの人との繋がりを残していきました。
彼や彼の仲間であるアフリカの人たちの音楽を聴いていると,
今はスマホ一台あればいつでもどこでも音楽を聴くことはできますが,
音楽って本来は,今,ここに生きていることの喜びや悲しみを,
その場にいる人たちと分かち合うためのものだったんじゃないかなあ,と感じます。
ジョゼフさんの生き方は,まさに音楽そのものでした。
彼の演奏する姿は
YouTubeや
映画『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語』の主題歌になった
ゆずの歌う「OLA!!」の
プロモーションビデオでも見ることができます。
ぜひ,聴いてみてくださいね。
(梅)