以前
こちらでも紹介したドキュメンタリー映画
『がんになる前に知っておくこと』の三宅 流監督が、
埼玉医科大学総合医療センターの緩和ケアチームを半年あまりにわたって取材し、
10分間の映像にまとめたドキュメンタリーがYahoo!ニュースエキスパートで公開されています。
「乳がんと皮膚筋炎で「全身が動かない」
―50歳女性が緩和ケアで生きる力を取り戻すまで」
「緩和ケア」というと、
“がんの末期に治療の手立てがなくなった人が受けるもの”、
“緩和ケアに行ったら終わり”というイメージがいまだ強いように思いますが、
このショートフィルムを観れば
「へえ、こういうのも緩和ケアなんだ」「最後に受けるものってわけじゃないんだ」
と
緩和ケアのイメージがガラリと変わるのではないかと思います。
日頃、緩和ケアに関するものを見聞きする機会が多い私にとっても新鮮でした。
思えばドキュメンタリーにしろ、読み物にしろ、緩和ケアを紹介するものは
“がんの終末期の患者さんにこんなケアをしました、
患者さんは安らかに旅立たれ、ご家族も穏やかに看取ることができました”
といったものが圧倒的に多いような気がします。
緩和ケアのイメージがいつまでも変わらない要因は、
メディアの伝え方にもあるのかもしれません。
このショートフィルムで感心したのは(と書くと偉そうですが)
緩和ケアを描くもので必ずと言っていいほど出てくる
“その人らしく” や “寄り添う”という言葉が一切出てこないことです。
これまでのものとは違うものを作ろう!という意気込みが
こんなちょっとしたところからも感じられます。
動画のコメント欄には
「誰でもどこでもこんな丁寧なケアが受けられるわけではない」
といった意見もありましたが、
それが現実であるならば、
「誰でも、どこでも」をめざすべきではないでしょうか。
そもそもWHOは緩和ケアを
「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対するケア」
と定義しています。
がんに限らず、終末期に限らず、
辛くて苦しいのであれば声を大にして求めていいのです。
そんなことも考えさせられるショートフィルム、ぜひ観てみてくださいね。
(梅)