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長期収載品の選定療養

2024年4月30日

今年は今週の平日3日をお休みにすると10連休のGWとなりますが,
本日も粛々とブログを更新していこうと思います。

以前に

個別改定項目

のブログで,10月から始まる選定療養の仕組みについて少し触れましたが,現在までに「長期収載品の処方等又は調剤について」の
通知が発出され,また選定療養の対象となる医薬品リストも公開されたりと,より詳細な内容が公表されています。

ここでは実際の処方に関する取扱について紹介したいと思います。
長期収載品の処方等又は調剤について(通知)から抜粋)


長期収載品を銘柄名処方する場合における取扱について

(1)銘柄名処方をされた長期収載品であって,「変更不可(医療上必要)」欄にチェックが記載されたものは,保険給付の対象となること。
  この場合は,「患者希望」欄にはチェックは記載しないこと。

(2)患者の希望を踏まえ銘柄名処方され,「患者希望」欄にチェックが記載された長期収載品については,選定療養の対象となること。

(3)銘柄名処方された長期収載品であって,「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄のいずれにもチェックが記載されない場合には,
  保険薬局における調剤の段階で後発医薬品を調剤することができる一方で,患者が長期収載品を希望すれば選定療養の対象となること。

(4)(1)から(3)までを踏まえ,保険薬局においては,処方箋に記載のある「変更不可(医療上必要)」欄又は「患者希望」欄のチェックの
  記載の有無に基づき,長期収載品を調剤した場合に選定療養の対象となるか否か判断すること。
   ただし,保険薬局において,次の場合において,次のような判断をすることは差し支えないこと。なお,これらの場合において,患者に
  対して調剤する薬剤を変更すること等を説明の上,同意を得ること。

   ・後発医薬品の在庫状況等を踏まえ,当該保険薬局において後発医薬品の提供が困難であり,長期収載品を調剤せざるを得ない場合には,
    患者が希望して長期収載品を選択したことにはならないため,保険給付とすること。

   ・処方の段階では後発医薬品も使用可能としていたが,保険薬局の薬剤師において,患者が服用しにくい剤形である,長期収載品と
    後発医薬品で効能・効果等の差異がある等,後発医薬品では適切な服用等が困難であり,長期収載品を服用すべきと判断した場合には,
    医療上必要がある場合に該当し,保険給付とすることも想定されること。

   ・処方箋において「患者希望」欄にチェックの記載がされていたが,調剤時に選定療養について説明した結果,患者が後発医薬品を
    希望した場合に,後発医薬品を調剤し,保険給付とすること。

(5)なお,医療上の必要性の観点からは処方医が後発医薬品を使用することに差し支えがないと判断し,長期収載品について患者の希望がない
  場合には,一般名処方がされることが望ましい。


一般名処方する場合における取扱について

(1)一般名処方の場合には,「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄のいずれにも,チェックを記載しないこと。

(2)一般名処方の処方箋を保険薬局に持参した患者が長期収載品を希望した場合には,選定療養の対象となること。


基本的には「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄でのチェックの有無に基づいて選定療養の対象か否かを
判断することになりそうですが,(4)にあるように実際には保険薬局の状況により,また保険薬局で確認した内容によっては
対応が変わるケースも想定されるため,これまで以上に保険薬局での業務が煩雑になり,制度開始後の混乱が懸念されます。

(と)
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