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「安楽死」が問いかけるもの

2021年12月21日

2021年も残りわずかとなりました。
今年は,オランダで「安楽死法」が制定されてちょうど20年の年でした。

日本でもここ数年,脚本家の橋田寿賀子さんが
「私は安楽死で逝きたい」と文芸誌で発言されたのを皮切りに,
安楽死に賛同する意見を目にするようになりました。

一昨年には,進行性の神経難病を発症した日本人女性が
スイスにわたって安楽死(医師による自死幇助)を遂げるまでの
ドキュメンタリー番組が放映され,以来,
スイスの自死幇助団体への日本人登録者が増えていると聞いています。

さらに最近は,安楽死の法制化を容認する声が,
緩和ケアに携わる医療者からも聞こえる
ようになっています。

一方,欧米では,
医師による自死幇助を制度として認める国や地域が加速度的に増えています
今年は過去最多となる5つの地域で
医師による自死幇助が認められました。

人を死なせることを制度として持つということは,
希望するすべての人を死なせるわけにはいきませんから,
「この人は死んでいい人」というカテゴリーを作ることになります。
たとえば高齢のため,あるいは何らかの病や障害で,
人の手を借りながら生きている人が,
自分が「死んでいい人」のカテゴリーに属していると知ったとき,
どのように感じるでしょうか。

また,人に迷惑をかけるくらいなら死にたい,
と言う人がよくいますが,
その人にとっての「人に迷惑をかけている」状態で生きている人が,
「死んでいい人」のカテゴリーに入っていた場合,
その姿は「迷惑をかけるくらいなら死にたい」と考える人の目に,
どのように映るのでしょうか。

安楽死について,考えれば考えるほどさまざまな疑問が出てきます。

発売中の『新薬と臨牀』12月号では,
「『安楽死』が問いかけるもの」と題した特別企画を掲載しました。
宗教者のお立場から髙橋卓志先生(前・神宮寺住職),
生命倫理学のお立場から大谷いづみ先生(立命館大学),
看取りに携わる医師のお立場から内藤いづみ先生(ふじ内科クリニック)に,
「安楽死」をテーマにご執筆いただいています。

オランダは安楽死を法制化するまでの話し合いに,
30年の年月をかけました。
しかし,その制度と運営には今も多くの問題が指摘されています。

「人にどう見られるか」を行動の指針に持つ人の多いこの国で,
人を死なせることを制度として持つというのはどういうことか。

「安楽」という言葉のイメージに惑わされることなく,
様々な視点から,じっくりと考えていきたいと思います。

(梅)
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