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鉄が足りない

2018年10月16日

会社の健康診断を受けました。
毎年,基準値内かを確認するくらいですが,
せっかくなので,よく引っかかる貧血に注目してみました。

貧血を診断する検査項目は主に3つ。

① 赤血球数
② 血色素量(ヘモグロビン量。赤血球のなかに埋まっていて,酸素と結びついている)
③ ヘマトクリット値(血液中の赤血球の容積の割合)


貧血とは,ざっくり言うと赤血球が運んでくれる酸素量が足りない状態です。

貧血になると,赤血球の数が少なくなったり,
酸素と結びつくヘモグロビン量が減ったりします。

ですので,上記の3つの値とも小さくなります。

一番よくある鉄欠乏性貧血は,
その名のとおり鉄不足が原因なので,鉄分摂取が重要です。

人体は構造上,鉄不足になりやすいので,
小腸には鉄専用の吸収輸送体が備わっており,
鉄は,そこと,鉄を含むミネラル全般を吸収する輸送体の
2カ所から吸収されます。

ちょっと話は逸れますが,
鉄にはヘム鉄非ヘム鉄というのがあり,
前者は鉄専用の輸送体から,
後者はミネラル全般の輸送体から吸収されます。

人の体はよくできたもので,
体内の鉄分が不足するとたくさん吸収し,
過剰になると抑えるというコントロール機能が備わっています。

鉄分をいっぱい摂らなければと,鉄を過剰に摂取すると,
ヘム鉄であればとくに問題はないのですが,
非ヘム鉄は,鉄以外のミネラルも吸収阻害を受け,
ミネラル不足に陥ってしまう可能性があります。

サプリメントにもヘム鉄・非ヘム鉄がありますので
注意したいところですね。

最近よくみるアミノ酸キレート鉄は,
吸収率が非常に良いのですが,
ミネラル全般の輸送体から吸収されるので,
ミネラルの吸収阻害を起こしやすいのと,
良すぎる吸収率による過剰摂取も起こしてしまうそうです。

ちょっと高いけど,ヘム鉄が良さそうですね。

ちなみに,吸収が抑えられると,
吸収されなかった鉄は便から排泄されるので,
うんちが黒くなります。

(さ)
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