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薬の旅

2017年12月5日

薬って飲んだ後,どうやって効くか知っていますか?

例えば頭痛薬。

飲んだ後,薬が頭に移動して効くんじゃね?

とかイメージされる方もいるかもしれませんが,
体に入った薬たちが,
「よし!頭に移動して頭痛を取り除くぞっ!」
と自主的に動くわけではもちろんありません。

あくまで一般的な話ですが,薬が効くまでの道のりはこんな感じです。

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口から消化管に入った薬は,まず第一関門である小腸で吸収されなければなりません。
ここで吸収されずに脱落した者(薬)は,
薬としての使命を全うすることなく便から体の外に追い出されてしまいます。

で,次の難関が肝臓です。
小腸から吸収された薬は,そのまま肝臓へ送られて「代謝」(初回通過効果)という洗礼を受けます。
代謝されるとほとんどの薬は戦力外になります。

ここで運悪く代謝され骨抜きになった薬は,便や尿として体の外に追い出され,
無事通過できた者だけがやっと,全身循環の血液の流れに乗ることができます。

そして,血液中を流されながら全身をぐるぐる回っているうちに,
使命通りの仕事ができそうな職場を見つけると,途中下車して効果を発揮します。

とはいえ,職場にたどり着く前に腎臓で尿にされ排泄される者もいれば,
肝臓で代謝される者も。

そのほか,道に迷って関係ないところでたむろしている者(蓄積),
変なやつに絡まれて身動き取れなくなっている者(タンパク結合型),
他の薬からの嫌がらせや助太刀を受ける者(相互作用)など,
薬の種類や体の状態によってさまざまです。

また,いわゆる頭痛薬とは痛みを取る鎮痛薬なので,
頭だろうが腰だろうが痛いところで仕事をこなします。

そして,「これも仕事だ!」と思い込んで胃を荒らしたりします(副作用)。

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薬の気持ちになって想像すると,なかなか厳しい世界ですね。

吸収率が低くて有名なアクトネルの生物学的利用率
(全身循環までたどりつける確率)は,なんと0.63%ですって。
0.6パーって。。。。。  やる気なくすわ。

ちなみに初期の難関をショートカットしちゃう輩もおります。
はい,静脈注射ですね。
この場合,血液循環からのスタートになります。
うん,良いと思う。

(さ)
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