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男性のIBS,女性のIBS

2017年2月23日

春一番の次は「冬の嵐」が吹いたりと,少し極端な季節の変わり目にあるここ数日ですね。

さて,先週2月15日,新薬が薬価収載されました。
ニュースでも話題のオプジーボと比較される
「キイトルーダ点滴静注20mg・同100mg」など,注目の新薬も多いですが,
私が今回個人的に最も気になった薬。それは……

リンゼス錠0.25mg
 有効成分:リナクロチド
 (アステラス製薬株式会社) です。


こちらの適応は「便秘型過敏性腸症候群」。
下痢型過敏性腸症候群」専用の治療薬としては,
2013年に薬価収載された
イリボー錠・同OD錠(有効成分:ラモセトロン塩酸塩)があります。

下痢型・便秘型を含む「IBS(過敏性腸症候群)」は,おもにストレスに起因して,
下痢や便秘を慢性的にくりかえす疾患です。

検査で異常はないのに下痢・腹痛を繰り返すこのIBS,
重症だとトイレの問題で外出しづらくなったりするなど,
生活の質が低下してしまう,つらい疾患です。


通勤・通学の途中でトイレに駆け込んだり,試験など大事な場面でお腹を下したり……。
下痢一般でいえば,一般用医薬品の下痢止め薬「ストッパ」(ライオン株式会社)のCMのように,
若い男性に多いイメージがありますね。
逆に,便秘薬の「コーラック」(大正製薬株式会社)はピンクのパッケージで,女性が主人公のCM。
便秘がちの悩みを抱えているのは女性が多そうです。


このイメージ,データからするとIBSにおいても実際に近いようです。
アステラス製薬の特設サイト「IBSネット」によると,

★全体では女性の方がやや多い
★比較的若い年代に多い
★男性は「下痢型」の割合が高く,女性は「便秘型」「混合型」の割合が高い

という特徴がみられます。
この性差の原因は,男女の体型の違いなど,複数の説があるようです。
「イリボー」は,男性と女性で1回量が異なるという珍しい用法を持っているほどで,
IBSでの性差の顕著さにはびっくりさせられますね。

下痢型IBS治療薬が先に世に出ましたが,
このたびの「リンゼス」により,便秘型のIBS患者さんにも治療の選択肢が増えました。
症状が落ち着き,お腹の張りから解放される女性が増えるといいですね!

(す)
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