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感染対策の陰で

2021年6月17日

当ブログで不定期で取り上げている,季節性インフルエンザの感染状況を
更新した厚労省発表の「インフルエンザに関する報道発表資料」。
発生数が増えた際には注意喚起がなされ,これまでは感染者が発生し始める
9月上旬から,それが収束する5月末あたりまで報告されていました。

しかし昨年は新型インフルエンザの感染が広がり始めた2月以降,急速に
季節性インフルエンザの感染が収束したため4月上旬まで,そして今年は
シーズンを通してほぼ感染者がいない状況が続き3月上旬には早々に
報告が終了しています。

季節性インフルエンザは新型インフルエンザの感染対策もあり劇的な
感染者数の少なさとなりましたが,例年秋から冬にかけて感染の
ピークを迎えるはずのRSウイルスがこの時期に急増しています。

RSウイルスは,ヒトが生涯にわたって感染を繰り返すウイルスで,
生後1歳までに半数以上が,2歳までにほぼ100%が初感染する疾患で
RSウイルス感染症の原因として乳幼児に多い急性の呼吸器感染症です。

原因として考えられるのは,昨年は新型コロナウイルス対策で
その感染が抑えられたことから,反動として免疫が弱い子どもが
多い状況
にある可能性が指摘されています。

現時点で既に2018年度のピークの感染者数に迫るほど急増しており,
生後6か月以内の乳幼児が感染すると重症化のリスクがあるとこから
注意が必要です。加藤勝信官房長官はRSウイルスの急増について
14日の記者会見で,「直ちに医療が逼迫する可能性があるとの報告は
受けていないが,引き続き注視していきたい」と述べています。

報道によると緊急事態宣言が沖縄県を除く地域で6月21日に解除される
見込みとのことですが,RSウイルスの流行のようなものが出ないとも
限りませんので,新型インフルエンザ以外の疾病にも気を付けて過ごす
必要がありますね。

(お)
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