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バイオセイム?ABS?

2018年7月17日

既に報道等がされているので,記事を目にした方もいるかもしれませんが,
先日のバイオシミラーフォーラム後の会見でバイオシミラー(バイオ後続品,以下BS)に
関する説明がなされました。

そこで聞きなれない単語が登場していました。

バイオセイム
オーソライズド・バイオシミラー(ABS)


バイオセイム」は「先行品(バイオ医薬品)と全く同じ条件でバイオシミラーをつくった場合」とされたことから,
オーソライズド・バイオシミラー(ABS)」は「バイオセイム」で作られたBSと考えられます。


最近では「オーソライズド・ジェネリック(AG)」に関する話題も多く,関心を集めていますが,
ABSはそのBS版ということになるでしょう。

バイオ医薬品は,遺伝子組み換え技術を応用し,動物または微生物が持つ
タンパク質(ホルモン,酵素,抗体等)を作る力を利用して製造される医薬品です。
一方,バイオシミラー(日本ではバイオ後続品)は,バイオ医薬品の本質であるアミノ酸配列は
先行品と同一ですが,細胞株や培養工程は製造業者により異なることから,
糖鎖や不純物の割合など先行品と完全には一致しないものの,厳格な品質試験,薬理試験,
毒性試験及び臨床試験によって医薬品としての同等性/同質性(comparabilityの和訳:
「品質の類似性が高く,品質に何らかの差異があっても安全性・有効性に影響を及ぼさないこと」)が
検証されています。
バイオシミラー協議会HPより引用)


ABSが実現すれば,AG同様,全く同一の製剤を低い薬価で使用することができます。
しかし,現状ではその薬価の設定が複雑で障壁となっている可能性があります。

会見での説明によると,

バイオセイム
先行品と全く同じものであり,類似品(シミラー)ではないため,「後発医薬品」扱いとなり,
初参入時の薬価算定では後発品ルールが適用され5掛け

他社に特許使用を許諾
他社での製造条件が全く同じとはみなせないため「BS」扱いとなり,初参入時薬価は7掛け

とのことです。

全く同一の「バイオセイム」である場合の方が薬価が低くなってしまうという
状況もあってか,現時点では「バイオセイム」を申請している企業はないという。
そもそもBSが十分に普及していない状態では,その先の「バイオセイム」製品の
登場も不透明というのが現状のようです。

(と)
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